M〜part2 微笑・帰天
「いいの、わかっている」
いのち
そう、ずっと知っていた。こんな風にこの生命を終わるのね。
哀しい目のあなた、私の同志。同じ人を愛した私達はどこまでも
同じ形をしているの。
私は微笑む。これしかできることはないから。
「私があなたでも同じことをするわ、きっと」
もうすぐ死がやってきて、あの人を捕まえてしまうから。身体を離
れた魂はとても弱くて傷つきやすいから、あの人を受け入れ、包む
器がいるの。
あなたにはその力がある。あの人の魂を救うために使える力が。
そして私には――そう、そんな苦しそうな目をしないで。
ライヴァル
私達は――同じでしょう?同じ人を愛してる。それなら良き好敵手
になれるでしょう?なったでしょう?
わか
あなたを理解るのは私だけ。
正しいとか間違っているとか、そんな言葉でははかれないこの気持
ちをわかり合うのは私達だけ。
だから迷わないで――そして悲しまないで。どうぞ私をうらやんで、
いい気なもんだと笑ってやって。
私は笑っているでしょう?あなたの瞳をのぞきこみながら。
「ねえ、そんな目をしてはだめ」
私に触れられて、あなたははじめて泣いていることに気づいたのね。
私の同志、私の”戦友”。私はゆっくりあなたの頬の涙をぬぐう。
「私は泣かないわ。だってこれは終わりじゃないのよ。私は―」
あなたの大きな手をそっと取る。
「始まるんだわ」
泣かないわよ、私。
「また会えるわね。そうしたら、今度は本当の―」
笑うから――。
「親友になりましょうね」
覚えていてね――。
私はあなたの掌を持ち上げて、頬から額へすべらせる。
音が――失くなる。
白い――ひかりが。
わたし どんどん かるくなる
かるいだれかと、すれちがう
ごきげんよう こえをかけて くるりとまわる
ねえ とびたててよかった
なみだ こぼす まえに
あとがき
おまえがかくと、こーゆーねーちゃんになるんかいって、どつかれそーですね。
原作の美奈子って全然わかんないもん。男二人に聖母扱いされちゃって気の毒です。
彼女にも言い分があると思うのね。
それに景虎は直江が傷つくほどちゃんとした女性を選んだはずで…だから本質は
”女の直江”(ただし一般人なので常識がある)。
まま、ちょっと真面目な話になりますと、”愛情より強い友情”という話です。
美奈子さんがこれぐらい肝が坐っているやつなら、直江が引きずり、
罪の意識を抱くのも許せるかな、という…
うう、つまり てめぇ好みのオンナにしてみただけってか。
ま…頭から指へダイレクトのぶっつけ書きですみません。
(相変わらず「コレハダレ?」ではじまる謎かけ婆です)
本人はけっこう爽快な気分でした。へへー。
’98.1.20. 塚戸理鳥